2022/11/27 プリン談義

その昔、山の麓に大きな大きなカラメルソースの池がありまして、その池の周りには小さな小さな角砂糖の実がなる木が生えておりました。1日に数個、その実が池に落ちては溶け、池の水嵩は何十年も減ることなく池はそこに存在していました。

ある年、山の麓に雨が降らず大規模な旱魃が発生しました。水が枯れかけている一方、角砂糖の実はこれまで通り1日に数個、ぽとりぽとりと落ち続けます。角砂糖が溶け切らずに池の水がざらざら、どろどろになってきた頃、池の管理者のフィリックス氏が池の水を人工的に増やそうと試みました。大きなホースを村中から集め、隣村や隣町の池の水を引っ張り流し込み始めました。が、しかし想定していたよりも池の水が増え村中にカラメルソースの大洪水が起きてしまいました。村中の家が押し流され、大災害となる中、ただ1軒だけカラメルソースにぷかぷかと浮かぶ家がありました。そうです。プリンの家です。プリンの中をくり抜いた、村の中でも特別なチェルシーさんのお家。チェルシーさんのお家はカラメルソースの中を漂い続けます。ぷかぷか、ぷかぷか。

しばらくカラメルソースの中を漂い続けていたそのお家に突然角砂糖の木の枝が引っかかり、ぷちっ、とお家の床に穴が空き家の中にカラメルソースが流れ込み始めました。たぷたぷと床の上に溜まり始めるカラメルソース。このままでは家が沈没してしまいます。チェルシーさんは困り果ててしまいました。

「どうしよう、このままでは家が沈んでしまう。」

頭を抱えるチェルシーさん。カラメルソースはどんどん床に溜まっていきます。

「どうしようどうしよう…。そうだ!」

チェルシーさんは突然閃きました。このお家を食べてしまえばいいのだと。

ひとくち、ぱくり。

チェルシーさんはあまりの美味しさに飛び上がってしまいました。

ふたくち、さんくち…。遂にはプリンのお家を1人で食べ尽くしてしまいました。

「ごちそうさまでした。」

 

数日かけて池の水はホースで回収され隣村、隣町にほんの少し戻されて山の麓のカラメルソースの池は元の水位となりました。村中は復興に向けて動き始めました。チェルシーさんは村のみんなを活気づけるため得意のプリンを作りみんなに配りました。池のカラメルソースをかけて。

カラメルソースのかかったプリンは大好評。評判を聞いた隣町や隣村の人も大勢やってきてチェルシーさんのプリンを買って帰ります。チェルシーさんは売り上げのほとんどを村に寄付し、村の復興に貢献しました。このお話こそ、プリンにカラメルソースがセットになったきっかけです。ですから、プリンにカラメルソースがセットになったのはただの偶然で意味があるかないかと言われたら意味なんてないのかもしれません。ただ、今この現世でプリンを食べるとなるとプリンにカラメルは必需品ですから、プリンにとってカラメルは意味のあるものとなりました。時代を重ねるにつれ、意味が見出されたのがプリンのカラメルソースです。みなさんも今度プリンを食べるときには是非このお話を思い出してみてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※このお話はプリンにカラメルソースがついた理由の一説に過ぎません。プリンにカラメルソースが付いたのはプリンにカラメルソースを付けた人がプリンを美味しくしようと試行錯誤し付属させたものになります。カラメルソースには意味があってプリンにかかっているのではないかと考えることもできます。悪しからず。