静かな雨の音、フロントガラスは雨に濡れもやもやと歪む。車の中は肌寒い。

薬のお陰かそれとも鬱のせいか面倒なことを考えなくなった。その代わり、面白いことも考えなくなった。昔は脳内が忙しなかった。今は何も考えない。良いのか悪いのかわからない。残ったのは太腿の傷跡だけである。白くて、触るとぼこぼことしている。これも年々薄くなってきていて、私が必死に生きていた事実が薄れていくように見える。

薬で衝動性を抑えている。未だに傷を付けたい衝動に駆られることはあるが大人だから、という理由で全てを丸め込んでいる。

少し感覚を研ぎ澄ませば昔の感覚が戻ってくる気がする。世の中のひとつひとつにフォーカスしていく。感覚が鋭くなるのと同時に流れ込んでくる情報が多くなりどっと疲れる。だから私は難しい事柄について考えるのを放棄している。ただここ最近、難しい事柄に向き合いたい気持ちも生まれてきている。ので、どうか興味があれば何か話題を振ってください。なんてね。おしまい。