待ちくたびれて朝がくる

大好きだった彼に死ぬまで一生愛されてると思ってた純粋な女の子は今、好きでもない男とセックスをする。あの時の少女は今は眠っている。時々目を覚まして、セックスをした男の影響を受けていろんなものに手を出す。男の読んでいる本、男の聴いている音楽、男の家で飲んだ紅茶。それから、別の女の子も目を覚まして一度したセックスを噛み締めるように思い出して浸る。部屋の暗さ、かけてくれた言葉、抱きしめてくれたこと、体の触り方、感触。ある人はふんわり柔らかく、ある人は筋肉質で硬かった。

2023/08/22

ぐらり、と揺れる。

関係を絶った今、もう連絡なんて来ないと思っていた。あの人から連絡があるのはセックスしたいときだけで、それがなくなった今もう何もかもなくなってしまったと思っていた。が、体調を心配する連絡があり心がぐらついた。ほんのり好きだったんであろうあの時の気持ちを思い出す。

私の気持ちはセックスした男に対してほとんど平等に分配されている。関係を持った男のことはほんのりと好きになる。体だけじゃなく心まで軽くふわふわしている。

さて、あの人が訊ねてきたのは仕事のことであった。来月後半から復職となっているとのことである。そりゃあそうだろう。休職期間が来月半ばまでなのだから。だけれども仕事に戻れる気なんて全くしない。仕事のことを考えるとそこだけぽっかりと穴が空いたように何も考えられなくなり、喉が詰まり、死にたくなってしまう。死にそうになってしまう。もう戻りたくはない。

あの人は私の死にたい気持ち、死にたかった気持ちに自分が関与しているのではないかと危惧している。思い上がりである。男が絡んで自殺を図るほど脳みそまで軽くはない。一種の失礼にあたるのかもしれない。失礼であるとは伝えず、やんわりふんわり安心するよう言葉をかけ眠ることにする。

2023/08/16 鳥籠

母は相変わらず酒を飲み絡む。もう慣れてきてしまった。酔うと人にベタベタと甘え、相手にされないと拗ねてしまう。所謂「メンヘラ」と言われるような気質も垣間見え、気持ち悪い。

酔うと普段よりも感情的になる母は時折「ずっとここにいてほしい」「歳を取ったら面倒を見てほしい」と話す。もう逃げられない、そんな気がする。両親の老後について考えているのは兄弟の中で私だけだろうし、家族の中で両親の面倒を見られると思われているのも私だけだろう。

父は私の好きにさせろと言うが母は聞く耳を持たない。これからもここに縛られ続けるのはわかっている。もう逃げられない。というのはもはや諦めである。誰か助けてくれる王子様でもいれば、と思っていたあの頃が懐かしい。あの頃は抗おうとしていた。

今はもう何もない。

気力が起きない。

息が詰まる。

2023/08/16

ふと彼女を思い出しiPhoneの画像フォルダを漁り、LINEの履歴を漁りして彼女のブログのURLにぶち当たった。探していたものはこれである。URLを打ち込み久しぶりに彼女のブログを覗いた。3日前に更新されていてなんだか嬉しくなる。

今どうしているだろうか。SNSの更新も殆どなく、今では繋がりがほぼ消えかけていて少し寂しい気がするのはきっとこちらだけであろう。

彼女はブログ内で私をあの子と呼び、「周りは彼女ともっと会話するべきだ。」と締めくくった。本当にその通りだと思う。私も周りともっと会話をするべきで、5年経った今もそれは変わらないだろう。彼女の紡ぐ文章がとてもとても好き。これも変わらない事実である。彼女にも是非、私のブログを、と少し思ったりもするがこれでいい。今のままで、彼女が何も知らないままでいい。その方がいい。誰も何も余計なことはしてくれるな。

2023/8/3 『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』

「こんなに寂しい雨の夜だから、私の大好きな男は妻を抱いているかもしれない」

 

心臓を握られているような気分になった。少し前に関係を絶った人を思い出す。少し悔しい、名残惜しいと思ってしまった。本当に好きだったのかもしれないと錯覚してしまう。

普段恋愛小説なんて手に取らないのに、所謂「人肌恋しさ」という感情のせいで手に取らざるを得なくなってしまった。

あまり細かい感想を書くつもりはない。ただ、『十日間の死』と『愛しいひとが、もうすぐここにやってくる』が好きだった。この程度に留めておく。

 

 

「関係をたつ」、以下引用。

関係をたつは永遠に関係を結ばないのなら「絶つ」が、一時的なら「断つ」が正しい 「関係をたつ」は「絶つ」を使えば永遠に関係を結ばないという意味になり、「断つ」を使えば一時的に関係を結ばないという意味になります。

2023/07/26 糖衣錠

夏の空気の香り、クーラーの湿っぽさ、蝉の声、夜の涼しさ。夏は寂しさを呼ぶ。

この季節になると男の人を知らなかったあの頃の純粋な恋愛を思い出す。少し切なくなる。

私にとってよくある言葉で言う『人肌恋しい季節』というのは夏なんだろうと思う。男性なら誰でもいい。頼りたくなる。大きい背中に耳を当てて寄りかかりたくなる。近くにいる男性に手が伸びそうになる。誰でもいい。夏を上書きしたくなる。男の人をほんの少し、齧る程度に知った今、上辺だけでいいから温かさが欲しい。甘さが欲しい。そんなことを考える今この瞬間、なんとも言い難い苦々しい気分になる。